第13回 新聞配達に関するはがきエッセーコンテスト

 日本の新聞の発行部数は約5,300万部。そのうち94.2%、およそ5,000万部もの新聞が、約43万9,000人の販売所従業員によって、毎日、読者の手元まで戸別配達されています。新聞協会の実施した読者調査では、約9割の人が、毎日、家に新聞を届けてほしいとしています。
 新聞配達に関するちょっといい話、日ごろ感じていることや心あたたまるエピソード、「こうしたらいい」と思っていること、新聞配達での経験などをエッセーの形で寄せていただく「新聞配達に関するはがきエッセーコンテスト」も、平成6年の第1回以来、今回で第13回となりました。「大学生・社会人」「中学・高校生」「小学生」の3つの部門に分けて募集した結果、はがき、封書、Eメール、ファクスで、全国から含め4,654編の応募がありました。学校やクラス単位で応募いただいたところもあります。
 心に残る作品が多く寄せられ、特別審査員を漫画家の倉田真由美さんにお願いして審査した結果、新聞奨学生として得た経験や人とのふれあいをつづった作品、吹雪の中、祖父の新聞配達を手伝ったことから仕事の厳しさを学んだ様子を描いた作品、夕刊の新聞配達をしているお母さんの手伝いから発見した事を素直につづった作品がそれぞれの部門で今年の最優秀賞に輝きました。
 新聞協会では、今回のコンテストに寄せられた声を励みとし、新聞の戸別配達制度について、読者のみなさまにより深くご理解いただけるよう、一層の努力を続けていく所存です。
平成18年10月
社団法人 日本新聞協会 販売委員会


大学生・社会人部門
最優秀作  『僕は若いころ、「新聞屋さん」』
  中村 人生(43歳) 岐阜県岐阜市

 漁村で育った僕は、中学を出れば普通に漁師になるものと思っていた。村で一人、大学を目指すところまではきたが、家には先立つものがなかった。
 そんな時、先生が新聞奨学生というものがあると教えてくれた。配達をすれば学校に行ける、新聞社が授業料をみてくれるという。自転車で何百部も配った。眠いのはそのうちに慣れた。雨の日はつらかったが、晴れた日は四季の花がきれいで自転車をこぐのも気分が良かった。配達から帰るといつも店長の奥さんが朝食を作ってくれた。
 集金や新聞の勧誘も仕事のひとつだった。田舎から出てきて若かった僕は一軒家を訪問するには勇気がいったが、今思えば皆、優しく接してくれた。いつも留守の人は毎月新聞代を紙に包んで郵便受けに入れてくれていた。途中でお茶やお菓子をごちそうになることもあった。新聞の勧誘では、大学一年生の夏にコンクールで優勝した経験は、今の営業という仕事に大いに役立っている。口下手でも朴訥(ぼくとつ)でもいいから、純粋にいいところを一生懸命にアピールするのだ。
 僕は若いころ、「新聞屋さん」をしていたことを誇りに思うし、その経験には今でも感謝している。

->「大学生・社会人部門」の優秀作(1編)、審査員特別賞(1編)、入選作(7編)はこちら



中学生・高校生部門
最優秀作  『祖父の魂』
 角谷 千飛路(16歳) 札幌市西区

 「…しんぶん…配達しなきゃ…」。祖父の最後の言葉だった。
 命の火が消える、その瞬間まで祖父は新聞配達のことを心配していた。
 ぼくが初めて祖父の新聞配達を手伝ったのは、五年前の小学校五年生のときだった。
 深夜に目が覚めてトイレに行くと、祖父が降り積もる雪と格闘していた。車がすっぽり埋まるほどのドカ雪で、暗やみの中、一人雪投げする祖父を、ぼくは放っておけなかった。急いで着替えて雪投げを手伝い、そのまま新聞配達にもついていった。吹雪の中の新聞配達は、想像を絶する重労働だった。新聞に雪が付かないように、ビニールを四重に巻きつけ箱に入れて、ソリに積む。箱から取り出した新聞は一部ずつ懐に入れて、軒先まで大切に運ぶ。
 仕事の厳しさを祖父の背中に学んだ。
 祖父の魂は、ぼくがしっかりと受け継ぎ、毎朝心を込めて新聞配達している。
 七月一日、今日は祖父の命日である。ぼくは朝刊をそっと抱きしめた。

->「中学生・高校生部門」の優秀作(1編)、審査員特別賞(1編)、入選作(7編)はこちら



小学生部門
最優秀作  『新聞配達楽しい発見』
 宮田 莉佐(11歳) 札幌市西区

 私のお母さんは、夕刊の新聞配達をしています。土曜日と、夏休み・冬休みは、私も配達を手伝っています。いつも楽しみにしていることがあります。それは、犬を飼っている一軒の家があります。その犬は必ず新聞を入れると、パクッとくわえて持っていきます。それが楽しみで、その家だけは、私がいつも、配達します。
 配達しているある家の花が、かわいくてその花の名前を聞き、買ってきて家の庭に植えました。その花のつぼみがきれいにさいて、ほっとしました。
 新聞配達は本当にいろんな発見があって楽しいです。いつも配達は楽しいけれど、雨の日はちょっといやです。そんな時は、お母さんは「今日はいいよ」と言ってくれます。
 学校へ行ってる日に、新聞配達の時間に雨がふっていると、ちょっと心配になります。冬の季節になると、寒くて本当に大変ですが、いつもと変わらず「行ってきま〜す」と言って、配達に行くお母さんが、私は大好きです。

->「小学生部門」の優秀作(1編)、審査員特別賞(1編)、入選作(7編)はこちら




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