第14回 新聞配達に関するはがきエッセーコンテスト

 日本の新聞の発行部数は約5,200万部。そのうち94.3%の新聞が、約43万2,000人の販売従業員によって、毎日、読者の手元まで戸別配達されています。新聞協会の実施した読者調査では、約9割の人が、「毎日、家に新聞を届けてほしい」と望んでいます。
 新聞配達に関するちょっといい話、日ごろ感じていることや心温まるエピソード、新聞配達での経験などを400字程度のエッセーにまとめ、ご応募いただく「新聞配達に関するはがきエッセーコンテスト」に、今年は、国内外から4,922編の応募がありました。学校・クラス単位で応募いただいたところもありました。
 心に残る作品が多く寄せられ、特別審査員をタレントの江口ともみさんにお願いして審査した結果、新聞配達員の心遣いに対する感動をつづった作品、母の新聞配達を手伝ったことから経験した様子を描いた作品、雨の日に届くビニールに入った新聞を袋から取り出す時の感動を素直につづった作品がそれぞれの部門で今年の最優秀賞に輝きました。
 新聞協会では、今回のコンテストに寄せられた声を励みとし、新聞の戸別配達制度について、読者のみなさまにより深くご理解いただけるよう、一層の努力をしていく所存です。
平成19年10月
社団法人 日本新聞協会 販売委員会


大学生・社会人部門
最優秀作  『新聞と一緒に優しさを配達した人』
  後藤 修(70歳) 茨城県日立市

 寒い師走の早朝だった。いつもは夕方に歩くのを午後から予定があるので、夜明け前に家を出た。近くの運動公園に向かって下り坂を歩いていた。そのとき、新聞配達の人がバイクを押して上って来た。汗をかき、息も荒かった。私は思わず「どうしました。パンクですか?」と声をかけた。
 その人は立ち止まり、呼吸をととのえると、「ご心配、ありがとうございます。パンクじゃないんです。そこの家のおじいちゃんが、このところ体の具合が悪いんですよ。家の人の話によると、なんでも夜はずっと眠れなくて、明け方近くなると浅い眠りにつくそうなんです。上りでしょう、このバイクの音で目覚めさせては悪いと思ってね」
 私は言うべき言葉が見つからなかった。なんと思いやりのあるやさしい行為なんだろう。その優しさを朝刊と一緒に、どの家庭にも配達しているのだと思ったら、目頭が熱くなった。

->「大学生・社会人部門」の優秀作(1編)、審査員特別賞(1編)、入選作(7編)はこちら



中学生・高校生部門
最優秀作  『不思議な感覚』
 村上 恵理(15歳) 東京都八王子市

 私の母は新聞配達をしている。
 私がたまに目を覚ますと母はまだ暗い中、家を出ていく。心の中で「いってらっしゃい」という。そして再び眠りにつき、目が覚めたころには母は台所にいる。そんな母を私は尊敬している。
 私は何度か母の新聞配達についていったことがある。母は新聞配達について、こう言ったことがある。
 「世界は私のものと思うのよ」
 「本当かよ」と思っていたが、本当だった。道路には車は通っていない。誰も歩いていない。夜とは全然違う、不思議な感覚がある。いつも見ている町とは違った見方ができる。そして犬は寒そうにほえて、猫は車の下で眠っている。
 だんだん朝日が昇ってくるころには、すべての新聞を配り終える。そして私と母の手で届けられた新聞は、ちゃんと人々の手に渡るのだ。
 24時間営業の店で、ジュースを買ってもらい飲むと、すがすがしい達成感が体を満たす。
 家に帰り、朝一番のニュースを見て、「知ってるよ」と、私は笑った。

->「中学生・高校生部門」の優秀作(1編)、審査員特別賞(1編)、入選作(7編)はこちら



小学生部門
最優秀作  『雨の日は、特別』
 鈴木 葵(11歳) 福島県いわき市

 「わっ。雨だ!」。雨の朝は、私にとって特別だ。
 小走りに玄関を出て、新聞を取る。
 「やったー!」。今日は、ビニール袋に入った新聞だ。私が読む新聞とお父さんお母さんが読む新聞が、きちんと別々に袋に入っている。なんだか大人の仲間入りをしたような、私が気持ちよく読めるようにと、大切に扱われている感じが、とてもうれしい。
 袋を破るときは、少し気をつける。せっかくぬれないようにしていただいたのだから、最後の作業もそっと大事に行う必要がある。袋をそーと破くと、中からプーンとモワーンとインクのにおいがする。なんだか雨の日だけは、作りたてのほかほかの感じだ。いつもよりなんだかうんとうれしい。
 朝早くから、きちんと届けてくれることは、大変だと思う。雨の日は、袋に入れるのだから、もっと忙しくて、そして配達もぬれてすごく大変だと思う。雨の朝は、新聞屋さんは嫌だと思うけど、私は、ちょっとうれしくて特別な朝だと思っている。

->「小学生部門」の優秀作(1編)、審査員特別賞(1編)、入選作(7編)はこちら




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